こんにちは、暖淡堂です。
2024年1月の試験でFP2合格を目指して勉強中です。
FP3と比較すると、マグレ当たり的な得点が難しそうで。
結構しっかりと勉強しています。
時々はFP1のテキストを参考にしたりもしています。
FPは、個人の資産運用や家計管理のアドバイスを行ったり、企業の経営をお金の面からサポートするのが主な仕事です。
そのため、FPの知識として経営分析に関するものも求められます。
企業の経営分析を行うことには、具体的には、以下のメリットがあります。
- 財務諸表や経営指標を分析することで、企業の経営状況を正しく把握することができる
- 資産運用における投資先選定の判断材料にできる
FPの経営分析サポートは、個人や企業における資産運用に大きく貢献できます。
例えば、FP2級試験の過去の出題問題に、経営分析の指標に関する以下のようなものがありました。
まず中小企業A社の損益計算書が示されます。
実際の問題では売上総利益、営業利益、経常利益の部分が空欄になっていました。
で、問われていたのは以下のようなことです。
それぞれの意味と求め方を以下にまとめたいと思います。
A社の売上高営業利益率
上の表の例では25%となります。
営業利益(100)/売上高(400)x 100 = 25%
A社が物を売るお店だと考えます。
そのお店の売上高のうち、どのくらいが営業利益なのか、その比率が売上高営業利益率になります。
営業利益は売上高から売上原価(変動費)を引いた売上総利益から、さらに販売費及び一般管理費(固定費)を引いたものになります。
売上原価は商品の仕入れ値ですね。この仕入れ値と、その商品の売値の差額が売上総利益。
売上原価を(変動費)としているのは、たくさん商品を売るためにはたくさん仕入れないといけないから。
商品の売り上げにともなって変動(増加)するので変動費といいます。
で、売上高から売上原価(変動費)を引いた売上総利益から、さらに販売費及び一般管理費を引いたものが営業利益。
この販売費及び一般管理費は、たとえばお店の人件費やお店の家賃、光熱費のようなもの。
これらが(固定費)と言われるのは、商品がたくさん売れても、同じ店舗で、同じ店員さんが売っていたら、この部分は変わらないからですね。
出店数を増やして事業規模拡大するまでは変わりません。
で、この売上高営業利益率を求める意味ですが、これはどのくらい効率的に儲けているかの指標の一つになるからです。
仕入れ値に対してどのくらい付加価値を乗せられているのか、どのくらい店舗やスタッフが効率的に機能しているのか。
そういったことが売上高営業利益率に反映されます。
企業の経営状態を判断する重要な指標と考えていいですね。
A社の売上高経常利益率
上の表の値からは30%と求められます。
経常利益(120)/売上高(400) x 100 = 30%
売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の比率。
上の例では、お店での商品販売以外に収入や費用がかかっているものがあれば、それを足し引きします。
お店での商品販売以外の収入や費用の例として、お店の2階が空いていて、そこを他の会社の事務所として賃貸する場合の家賃収入や部屋のメンテナンス費用とか、お店として資産運用している場合の収益とかが考えられます。
売上高経常利益率も、企業の経営状態を判断する重要な指標です。
この指標は企業の総合的な収益力を表すものになります。
A社の限界利益率
限界利益とは売上高から売上原価を引いたもの。
そもそもその商品を売ることで儲けがあるかどうかは、限界利益がプラスかマイナスかでわかります。
限界利益がマイナス、つまり売上高が売上原価よりも少ない場合は、いわゆる原価割れしていて、商売を続ければ続けるほど赤字が増えていきます。
一方で限界利益がプラスの場合、商売を続けることで販売費及び一般管理費を賄えるところまで売上を持っていけば、事業全体として収益が上がる状態になりますね。
また限界利益がプラスで大きいほど、効率的に収益が上がる事業だと言えます。
で、問われている限界利益率は、売上高に対する限界利益の比率。
限界利益(売上高ー売上原価:200)/売上高(400) x 100 = 50%
効率的に収益が上がる事業は、限界利益率も高くなります。
A社の損益分岐点売上高
損益分岐点売上高とは、事業が赤字になるか黒字になるか、その分かれ目の売上高ということです。
この損益分岐点売上高で問題になるのが固定費である販売費及び一般管理費の金額。
商品を売るお店であれば、店舗の家賃が安く、在庫のための倉庫も小さく、人員も少ない方が固定費が少なくなります。
固定費が少なくなると、それだけ損益分岐点の金額が少なくりますね。
損益分岐点売上高は以下のように求められます。
固定費(販売費及び一般管理費:100)/限界利益率(50%) = 200(百万円)
この売上高を超えないと儲けが出ないという、その金額になります。
式を少し展開してみます。
= (売上高 ー 変動費)/売上高
= 1 ー (変動費/売上高)
この最後の式を使うと、
= 固定費/(1 ー (変動費/売上高))
表の金額をそれぞれ入れて計算すると、
損益分岐点売上高 = 固定費(100)/(1 ー (変動費(200)/売上高(400)) = 200(百万円)
同じ結果が得られます。
もし変動費(売上原価)がもう少し安くなるとどうなるか、この式で試してみることができます。
変動費(売上原価)が半分の100(百万円)だった場合、
損益分岐点売上高 = 固定費(100)/(1 ー (変動費(100)/売上高(400)) = 約133(百万円)
収益がプラスになる売上高の金額がずいぶんと小さくなります。
同じ売上高でも、儲けが多くなることがわかるかと思います。
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株式投資などで株を買う場合、対象となる企業の経営状況をよく調べる必要があります。
そんな際には企業の経営分析をしたくなるものです。
経営分析につき、まず基本的な考え方を知りたいのであれば、FPに相談するのが早道です。
FPは具体的な購入株の提案などはできませんが、経営分析手法に関しては説明できます。
企業の経営分析の初歩については、ぜひFPに相談することをご検討ください。
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