こんにちは、暖淡堂です。
現在2024年1月に行われるFP2技能士試験のための勉強を続けています。
LECのFP2合格のトリセツの問題集を順番に解いているのですが、なかなか頭に入らないものがあります。
それが企業の経営分析の部分。
以前、経営分析の基礎的なテキストは読んだことがあったのですが、問題で問われるとまったく答えが出てきません。
今回の記事では、内容の整理も兼ねて、過去問を例にしながら「貸借対照表」の読み方に関する問題を紹介したいと思います。
問題は「2020年1月のFP2技能士試験」に出題されたものです。
まず、以下の「貸借対照表」が示されます。
この表に示された内容を用いて、以下のことが問われます。
<A社の貸借対照表>に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、A社の平均月商は100百万円であるものとする。
1.A社の売上債権回転期間は、3ヶ月である。
2.A社の所要運転資金(経常運転資金)は、100百万円である。
3.A社の当座比率は、120%である。
4.A社の固定長期適合率は、80%である。
不適切なのは選択肢3になります。
どうしてそうなるのか、順番に解いていきたいと思います。
売上債権回転期間とは
売上高に対する売上債権の比率です。
月当たりの売上高で評価すると、何ヶ月で売上債権が回収できるかがわかります。
この期間が短いと、売上債権の現金化までの期間が短いということですので、資金繰りが健全かつ効率的であると評価できます。
この数字は、ほぼ言葉通りに計算するとよく、以下の式で求められます。
売上債権回転期間=売上債権(売掛金+受取手形)/月当たりの売上高
表の値および情報として与えられている平均月商100百万円で計算すると以下の通り。
受取手形(120)+売掛金(180)/平均月商(100)=3ヶ月
なので、選択肢1は「適切」となります。
所要運転資金(経常運転資金)とは
売上が実際に現金として入金されるまでには時間がかかります。
その間も事業を継続しないといけないのですが、その期間に必要になる資金のことを所要運転資金(経常運転資金)といいます。
考えるポイントは、現金になっていないものの資産と負債のバランス。
不足分があると、その分を現金で補うという考え方になるかもしれません。
この金額は以下の式で求められます。
+棚卸資産(在庫、仕掛品、原材料)
ー仕入債務(買掛金、支払手形)
表の値で計算すると、以下の通り。
ー支払手形(140)ー買掛金(160)=100百万円
なので、選択肢2も「適切」となります。
当座比率とは
まず、当座資産という言葉の意味から。
当座資産とは、流動資産のうち、現金および1年以内に現金化可能な売掛金、売上手形などのこと。
商品(在庫)は1年以内に売れるとは限らないので、当座資産には含めません。
当座比率は、取引先から今すぐに支払いを求められた時、つまりは流動負債(支払手形、買掛金、短期借入金)を現金化することが求められた場合に対応できる能力を評価するものといえます。
なので、当座比率は当座資産の流動負債に対する比率になります。
当座比率は以下の式で求められます。
当座比率(%)=(当座資産(現金及び預金、受取手形、売掛金)
/流動負債(支払手形、売掛金、短期借入金))x100
上の表の値で計算すると以下の通り。
(当座資産(現金及び預金(200)+受取手形(120)+売掛金(180))
/流動負債(支払手形(140)+買掛金(160)+短期借入金(200)))x100
=100%
なので、選択肢3は「不適切」となります。
固定長期適合率とは
事業の収益を生み出す固定資産が、どれだけ安定した資金で賄われているかを表す指標で、この値が低いほど財務状況が安定していることを示します。
固定資産とは、例えば工場の生産設備のようなものです。
これは、できれば返済義務のない自己資本(純資産)か、あるいはすぐには返済しないでもよい固定負債(長期借入金や社債)で賄いたいもの。
この固定長期適合率は100%以下になっているのが好ましいですね。
100%を超えるということは、短期負債も用いているということになります。
短期負債は返済期限がすぐに来てしまいますので(1年未満)、また資金繰りをしないといけなくなる場面が想定されます。
固定長期適合率は以下の式で求められます。
固定長期適合率=(固定資産/(固定負債+自己資本(純資産)))x100(%)
表の値を用いて計算すると以下になります。
(固定資産(400)/(固定負債(200)+自己資本(純資産:300))x100=80%
選択肢4は「適切」となります。
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経営分析の指標は、ここに挙げたもの以外にもたくさんあります。
それらを全部頭に入れるのは難しいですね。
ざっくりとこれらを覚えておいて、さらに難しいものが出たら諦めるのも手かもしれません。
もっと覚えるべき重要な内容は他にたくさんありますので。