こんにちは、暖淡堂です。
2023年9月のFP3級の試験では、実技試験で著作権に関する問題がありました。
たまたま僕は知的財産関連の仕事をしているので、余裕で1点とれましたが、もしまったく知らなければとれなかったかもしれません。
FP試験では、関連法規の問題がよく出されるのですが、その中で忘れがちなのが著作権法と個人情報保護法。
少し知っているだけで1点とれますので、過去問などを解きながら準備をしておきましょう。
著作権法に関する問題の例
2023年9月の午後に行われたFP3級の実技試験の一問目が以下のようなものでした。
公表された他人の著作物を自分の著作物に引用する場合の注意事項に関する次の記述のうち、もっとも不適切なものはどれか。
1.自らが作成する部分が「主」で、引用する部分が「従」となる内容にした。
2.自らが作成する部分と引用する部分を区別できないようにまとめて表現した。
3.引用する著作物のタイトルと著作者名を明記した。
FP3級 実技試験(資産設計提案業務・2023.9)
問題用紙を見て、心の中で「おお〜出たか〜」とつぶやいていました。
ブログなどで普段から情報発信している方であれば、著作権への配慮は普段からできていると思います。
このなかで最も不適切なのは2ですね。
1と3は他人の著作物を引用する際には必ず対応しておかないといけないことです。
ちなみに、「主」と「従」の区別の判断ですが、著作権法には以下のように書かれています。
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない(著作権法32条1項)
国もしくは地方公共団体の機関、独立行政法人または地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物(国等の周知目的資料)は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りではない(著作権法32条2項)
著作権法に関する基本的な理解が問われるのは、FPの業務で、他人の著作物を利用する場面が想定されるからでしょうね。
書籍などの刊行物から図表を引用したりして、自分の顧客への説明資料を作成するということはよくありそうです。
そんなときは、引用として正しく行われていないと、著作権侵害となってしまいます。
場合によっては裁判で訴えられることもあり得ます。
刑事罰もあります。
一方で、国や地方公共団体、独立行政法人などが周知目的で公表されているものは利用できます。
年金などの社会保障制度や税金のルールなど、これらの公表資料を適宜参照し、情報を更新する必要もありますね。
個人情報保護法に関する問題の例
個人情報保護法に関しては、以下のような設問が過去に出題されています。
「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.個人情報保護法に定める個人識別符号には、指紋認証データや顔認証データといった個人の身体の一部の特徴をデータに変換した符号が含まれる。
2.個人情報取扱所業者は、個人情報データベース等を事業の用に今日している者のうち、5000件超の個人データを取り扱う事業者に限られる。
3.個人情報取扱事業者が、本人との契約を通じて契約者本人の個人情報を取得する場合、原則として、契約締結前に、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。
4.個人情報取扱業者が、人の生命、身体または財産の保護のために、本人の病歴や犯罪の経歴などの要配慮個人情報を取得する場合、取得に当たって本人の同意を得ることが困難であるときは、あらかじめ本人の同意を得る必要がない。
FP2級 学科試験(2022.1)
最も不適切なのは2で、取り扱う個人情報データの数にはよりません。
一人の個人情報であっても、それを事業で取り扱う場合は個人情報保護法に準拠した取り扱いをする義務があります。
その他1、3、4は、それぞれFPとして顧客に個人情報を提供してもらう場合は注意しないといけないものになります。
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法律の問題は、慣れていないと問題文自体が読みにくいものですね。
法文や制度の説明文を噛み砕いてわかりやすく説明することもFPには求められるかと。
関係しそうなものは、早い段階で読み慣れておくのがよいかと思います。
著作権に関しては、以下のリンク先のブログ記事もご参照ください。
天気予報や古典作品と著作権などの関係を解説しています。
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